俗・西遊記/栗栖真理亜
 
ら、その法師に術を解いてもらって天竺まで行くお供をしろってさ』
まったく、お釈迦様も酷いことをなさるもんだ。
こんな危険な妖怪の封印を解いて、しかもお供までさせろ、だなんて。
わたしがしばし躊躇してしまったのも無理な話ではなかろう。
もちろん、侍従たちは口を揃えて大反対。
意見が紛糾して終始が付かなくなったころ、またもや妖怪が口を開いた。
『一体全体、俺をここから出すのか出さないのか、どっちなんだ?いい加減に早くしろよ。さもないと、この岩でオマエたちをぺしゃんこにしてしまうぞ』
(仕方がない)
私はため息ひとつ付いた。
ここでぺしゃんこにされては元も子もない。
これも釈迦如来の
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