俗・西遊記/栗栖真理亜
ょっちゅう様子伺いに王宮へ出入していたのだよ。
そんなわけだから、私も別段不思議に思わずいつもどおり謁見の間へとはせ参じたわけだ。
・・・2時間ぐらい待たされたかな?
やっと部屋へお越しになられたときには、王は神妙な顔つきをされていた。
私が礼を尽くして挨拶をすると、王は私の傍まで寄ってこられてこう言うのだ。
「すまぬが、朕の頼みを聞いてくれぬか?」
突然の事で驚いた私だったが、王の命令とあれば逆らえない、「はいはい。王の命令とあらば、何でも仰るとおりに致します」と正直に答えた。
王は満足そうに頷くと、「ならば、今から朕の欲しいものをそちの手で掴んで来い」とおっしゃって私の丸い頭をお
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