見えない未来を信じて/岡部淳太郎
地獄の中の救いであった。ある種の助平心とも言えたが、そうした気持ちが生きる希望になってくれた。現在の病院に移ってからは会えなくなってしまったのだが、まだ気持ちは消えていない。それどころか、彼女の存在が希望になることで、逆に気持ちは固まりつつある。いまはとりあえずまた歩けるようになることを目指して、退院した暁には再び彼女に会いに行くことを目標に毎日のリハビリを頑張っているところだ(彼女に気持ちなど伝えてはいないが、彼女の方でもこちらの気持ちに気づいているのか、病院を移る前の日に「歩けるようになって退院したら会いに来てくださいよ」と言ってもらえている)。男として大した魅力のない自分であるから、付き合う
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