見えない未来を信じて/岡部淳太郎
ており、その時のことは「木切れ」という散文に書いた。その後、カテーテルでの治療を受けるために、二〇二二年から翌二〇二三年にかけて短い入院を三度に渡って行っている。今回が五回目の入院ということになるが(若い頃に酒の失敗による急性アルコール中毒で一晩だけ入院したことがあるので、それも含めると六度目ということになるが)、これほど長い入院生活を送るのは初めてのことだ。
正直、僕はここに至るまでの人生で大して良いことがなかった。この年になるまで独身であるし、当然子供もいない。社会不適合の性格のためか、世の中でそう大した仕事をしてきたわけでもない。要するに社会的には落伍者であったと言っていい。僕は大したこ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)