夢のあと/栗栖真理亜
 
に虫が入り込んで誤作動が起こるぐらいで、殆どは埃の被った椅子に腰掛けながら、ボ〜とその日一日を過ごしていた。
あの日もそんな何のヘンテツもない日常が流れて今日がまた何事もなく終わるものだと思っていた。
その日がいつもと少し違っていたのは、僕がいつもの日課通り、椅子に座りながら、何気なしに古ぼけた壁を眺めていた時に、ドカドカと数人の見知らぬ男達が突然乗り込んできたことだった。
「なんだ、野郎しかいないのかよ」
ビックリした顔をした僕を尻目に、髪を赤く染め、鼻にピアスをした体躯の良い仲間の一人が吐き捨てるようにそう言った。
僕はいつの間にか、いかにも頭が悪くてガラの悪そうな男達数人に取り囲ま
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