夢のあと/栗栖真理亜
 
ね?!」
「は、はい」
目の前に突然現れた、いま話題の人物から何だか知らないけど頼りにされそうになっているというちょっとした自尊心を擽られて、僕はその場でOKしていた。
この一件があってからというもの、僕はいつの間にかそとばこまちの劇団員として活動するようになっていた。それというのも、座長のつみつくろうこと、タツミさんが、最初に誘ってくれたシェイクスピア劇の打ち上げの時に「今日からウチの劇団員になる槍魔栗三助君だ」と紹介したからだった。
「槍魔栗三助です。よろしくお願いします」
そう言われれば、自分を興味深げに眺める劇団員に反射的に頭を下げて挨拶するしかない。どうやら、初めから僕は劇団員
[次のページ]
戻る   Point(1)