夢のあと/栗栖真理亜
 
か面白くて良く出来てるよね」
(なんだ、ファンか…珍しいな)
僕は胸内で呟き、「有難うございます」と形式的に頭を下げた。
「特に君は舞台の上でキラキラ輝いていたよ。素晴らしい!」
彼は情熱的に僕の手を握り締めた。
僕も彼に握手を求められるまま、それに応じた。
「ああ、そうだ。ちょっと待って」
思い出したように彼はカバンからチラシを取り出し名刺を添えて僕に手渡した。
「今度、僕達も芝居するんだけどもし良かったら観に来ないかい?」
渡されたチラシには二色刷で大きくシェイクスピア劇のタイトルが踊り、添えられた名刺には「劇団そとばこまち座長つみつくろう」と書かれていた。
そとばこまちと
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