夢のあと/栗栖真理亜
 
リと相手を見返した。
柔らかそうな人相からして悪い相手ではなさそうだ。
「いきなり声掛けたからビックリしたかい?そりゃそうだろうね。驚かせてごめんよ」
彼は頭を掻きながら謝りつつ、僕の肩に手を置いた。微笑みを口の端に浮かべながら目だけは僕をジッと見つめたままだ。それはまるで人当たりの良さそうな感じとは裏腹にまるで掴んだ獲物は逃さないといった雰囲気を醸し出していた。いまこの目の前の人物の言う事を聞かなければならない。僕はなぜかそんな焦燥に駆られた。
「えっと、何でしょうか」
恐る恐る僕がそう聞くと、相手はとたんに目許を緩めた。
「ああ、君達のコント、さっきみせてもらったんだが、なかなか面
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