夢のあと/栗栖真理亜
 
けの時間が過ぎていったのか、辛苦と耐え難い時がとても長く感じられた。
暴漢達が行為に飽きて去って行った後、僕は壁を伝い、よろめきながら膝をついた。
(なぜ、僕がこんなことに……!)
〈おい、あんまり乱暴なことはするなよ。なんたって、大切なお客さんなんだからよ〉
僕はリーダー格の男が放った言葉を思い出していた。
(まさか……!)
しかし、何の確証もない。それでも僕は明くる日、タツミさんのもとへ行かざるおえなかった。
「待ってたよ」
タツミさんは飄々とした態度で僕を出迎えた。
「あなたですか、僕をあんな目に遭わせたのは」
掴み掛からんばかりの僕を目にしても彼はどこ吹く風といったよう
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