夢のあと/栗栖真理亜
ように「だって君は最近、劇団とバイトで忙しくて、全然僕に構ってくれないだろう?」などと嘯いた。
「そんなことで僕を襲わせてあんな酷いことしたんですか!」
「まぁまぁ、ここではナンだから、場所移そうか?」
僕はタツミさんに促されて、河原町松原の稽古場に場所を移した。
松原の稽古場はタツミさんがつみつくろうとして劇団を再建して座長に就任した際に借りた場所だった。
「覚えてるかい?僕達よくここで汗をかいたものだったよね」
タツミさんは僕の肩を抱きながらそっと囁いた。
思い出深い場所に僕も思わず感慨深くなり、深く頷くと、タツミさんは笑いながら耳許で 「今してもいい?」と聞いてきた。
僕が
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