夢のあと/栗栖真理亜
同じ大学に通っていた喜劇研究会の仲間の一人と「漫才のようなコント芝居」を始め、未熟ながらも演技に熱中した。当時、とある有名脚本家も在籍していた大学は「第三劇場」という劇団を立ち上げていた。僕もそこで精力的に活動していた。そこから僕の運命の歯車は一気に回り始めたのである。
「君、ちょっといいかな?」
突然肩を叩かれビックリして振り向いた僕の目の前には、僕より一つニつぐらい歳上の男性がにこやかな顔をして立っていた。
後に彼は舞台だけでなく映像にも進出し、バラエティ番組ではその頭の回転の速さと運の強さから、芸能界のクイズ王と呼ばれるようになる。
「は、はぁ…」
曖昧な返事を返して僕はギョロリと
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