ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
事の順番を替えることなど、簡単である。また、替えるごとに、違った作品が出来上がる。ただ、「時と場所」(アンナ・カヴァン『失われたものの間で』千葉 薫訳)、「それをならべかえる」(カール・ジャコビ『水槽』中村能三訳)。それだけでよい。まさしく、「好きなように世界が配列できるのだ」(スタニスワフ・レム『天の声』17、深見 弾訳)。
つぎに紹介する詩は、わたしの作品のなかで、韻律的にもっとも複雑な仕掛けが施されたものである。韻律の創造と破壊を交互に繰り返しながら進行していくのだ。内容は、「みんな、きみのことが好きだった。」ほど整ってはいないが、そうであるがゆえに、より凝縮した印象を与えるものとな
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