ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
 
だった。」や「頭を叩くと、泣き出した。」や「マールボロ。」のように、取り掛かる前に、まず言葉の断片があって、それから、それらをつなぎ合わせて、一つの情感なり、一つの精神状態のようなものを作り出していくという、コラージュ的な手法でなされたものが多い。手法が変わるきっかけになったのは、やはり、引用のコラージュで制作した第二詩集の『The Wasteless Land.』(書肆山田、一九九九年)であろうか。前期の詩では、わたしが言葉と出会って、わたしのなかに折りたたまれていた光や音が解放されていったような気がするのだが、後期の詩では、わたしが言葉と出会った瞬間に、わたしのなかに折りたたまれていた光や音が
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