ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
音が自らの光や音を解き放つと同時に、もともとその言葉のなかに折りたたまれていた光や音をも解放していったような気がする。あるいは、逆に、言葉がわたしと出会った瞬間に、もともとその言葉のなかに折りたたまれていた光や音が自らの光や音を解き放つと同時に、わたしのなかに折りたたまれていた光や音をも解放していったのだろうか。いずれにせよ、もちろん、最終的に解放された光や音は、わたしのなかに折りたたまれていたものでもなかったし、もともとその言葉のなかに折たたまれていたものでもなかった。それらが共鳴し合って、新しく生み出された光や音であった。先に引用したノヴァーリスの「真の始まりは自然詩である。終末は第二の始まり
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