首曳きの唄/栗栖真理亜
になって語りかけた。
(そら、来た!)
僕は構えるような心持ちで「な、なんだろう、話って?」とおずおずと問いかけてみた。
「実はね」と彼女は切り出したかと思うと
「ちょっとこっち来てくれる?」と僕の腕を掴んで公園に建ってる記念碑のところまで引っ張って行った。
「ここなら、話せるわね」
彼女がにっこり笑う。
「う、うん」
僕は訳が分からないまま、どぎまぎしながらとりあえず頷く。
「実はね・・・」
彼女はじっと僕の顔を見つめたまま、小声で話し始めた。
僕は万里子が話し終わるか終わらないかのところで、すっかり理性を失くしてしまった。
気が付くと僕は彼女を
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