首曳きの唄/栗栖真理亜
 
彼女が「それじゃあ」といって話を切り出す。「実は、前からずっと近藤君に伝えたいことがあって・・・」と彼女が澄んだ瞳で僕を見つめ返す。「そう、なんだい?伝えたいことって?」と僕が訊くと彼女は、「実はずっと前からあなたの事が気になって仕方がなかったんです。本当にあなたの事が好きになってしまったみたい。もしよろしければ、私と付き合っていただけますか?」と彼女は思い切って僕に告白する。僕はしばらく考える振りをしてから、「うん。もちろんだとも。だって、僕も君の事ずっと想っていたから」と彼女を抱きしめる。それから・・・)
僕は心の中で勝手に妄想を膨らませながら、うろうろと同じところを行ったり来たりしながら
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