首曳きの唄/栗栖真理亜
に向かって親しげに呟いて見せた。
僕は学校へと車を走らせていた。
深夜の道路はたまに通る過ぎる車があるだけで、それ以外は閑散としている。
「ふあぁぁぁぁぁ」
僕は静粛な空気を吸い込むために大きく伸びをした。
伸びのついでに、チラっと無意識的に横目でバックミラーのほうを垣間見る。
「っっっっっ!!!!!!」
僕は思わず喉元から出かかった叫び声をすんでのところで飲み込んだ。
バックミラーに映っていたのは、裂けるかと思うほど口角を吊り上げて、
ニヤリと笑っている垣ノ内の青白い顔だった。
それはまるで地獄から這い登って来たように不気味で胸クソ悪いものだった。
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