首曳きの唄/栗栖真理亜
 
用品が入りそうな大きめの黒いバッグを拾った。
ジ〜〜〜〜〜〜・・・。
そのままチャック口を開けると、ひょいとボーリングの玉のように片手で持ち上げた頭をバッグの中におもむろに詰め込んだ。
入り切れないかとも思ったが、頭は難なくバッグの中に納まった。
僕はまた元通りチャックを閉めると、取っ手部分を持ち上げ、心持ち、揺すってみる。
中身のごろごろとした感覚が腕に伝わってきた。
「ふふっ」
僕は笑みをこぼすと、取っ手をまた持ち上げ、そのまま玄関口へと持っていった。
(さあ、これで邪魔者は本当に消えたぞ)
僕は靴を履き、取っ手を回して扉を開けると、まだ明け切らぬ夜の闇に向
[次のページ]
戻る   Point(1)