首曳きの唄/栗栖真理亜
 
た首だけの人形。
それがまた、何ともいえぬ可笑しさを誘い、僕の目じりに涙を溜めさせた。
「ふふふふ、はははははははははは!」
(僕はやった!殺ってやったぞ!)
妙な満足感と充実感が僕の身体を駆け巡る。

いつもあんなにクソ生意気でエラそうな態度だった垣ノ内(こいつ)が

自分の思うがままの姿に様変わりした皮肉は今この時点では僕だけの秘密であった。
だったら、僕にもおなかを抱えて笑う権利だってあるはずだった。
「ヒッ、ヒッ、ひぃ、ひぃ」
笑いすぎて喉が引きつるように痛い。
僕は目尻に溜まった涙を指で掬い上げると、傍らに置いてあった旅行用にちょっとした日用品
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