首曳きの唄/栗栖真理亜
ると、僕が昼間考えた計画はすべてオジャンになる。
僕は落胆したように肩を落とした。
(な〜〜んだ。結局、何事も起こらないんじゃないか)
湖水を孕んだ風が冷たく僕の頬を撫でる。
僕はおもむろに砂を掴み取り、水面に放つと、そのまま踵を返した。
砂は放物線を描くこともなく、バラバラと無惨な姿で水中に落ちていく。
僕の瞳には約束事を破られた悔しさと自分の思い通りにならない憤りとで、涙が溢れていた。
垣ノ内にすべて僕の諸行を見られていた後悔、それはない。
ただ、どうしようもない鬱憤が自分の体に溜まっていくのを感じた。
(このままでは済ませられないぞ)
「ぐおおおおおお
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