首曳きの唄/栗栖真理亜
笑みが僕の心の底からこみ上げてくる。
「くくくっ」
そう、垣ノ内(あいつ)の運命はすでにこの僕の手中に握られているのだ。
そう思うと何だか愉快な気分になってくる。
またアノ快感が蘇ってくるようだ。
僕は誕生日プレゼントを心待ちにしている子供のように心を躍らせながら、
どこまでも青く澄み渡った空を見上げて来るべき時をいつまでも思い浮かべていた。
いよいよ、垣ノ内と再び待ち合わせる時がやって来た。
僕は携帯に表示された時間を気にしながら、イライラとした表情で垣ノ内(ヤツ)を待っていた。
ヤツはまだ現れない。
もしかして、僕の真の動機に感付いて、逃げ出したのだろ
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