首曳きの唄/栗栖真理亜
 
らしい。
「わ、わかった・・・山分けする。お前に半分金やるから、今日は勘弁してくれ」
僕のほうも、もはや観念したかのように呟いた。
「そっか〜〜!やっぱりお前は聞き訳がいいな。それじゃどこで手渡しを行う?出来れば人目に付かない場所がいいよな」
垣ノ内はさらに嬉しそうに僕の顔を撫でると、突然ひそひそ声になって、金の受け渡し場所を聞いてきた。
「そ、そうだな・・・。琵琶湖なんかがいいんじゃないかな?ほら、観光客とかが絶対来ない僕たちだけが知ってるあそことかさ・・・」
僕が地元民だけが知っている琵琶湖のとある湖畔を名指しすると、ヤツもそれに同意した。
「待ち合わせる時間はどう
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