首曳きの唄/栗栖真理亜
 
続けた。
「お前、なにやら昨日ロッカールームでゴソゴソやってただろ?しかも、大きなバッグ抱えてさ。お前はすべて隠し通せたつもりかもしれないが、俺の目は節穴じゃないんだ。俺にはすべてお見通しなんだよ」
この科白を聞いたとたん、僕の表情は凍りついた。
体中から冷や汗がどっと溢れ出て来る。
(アノコトがバレてた・・・!)
まさかバレていたとは思いもよらなかった。
しかもこんなヤツに・・・!
「どうせ、大金でも入ってたんだろ?あ、あん?あのバッグ一体どうしたんだよ?」
垣ノ内はさらにいい気になって僕の顎を指で掴んだ。
しかし、僕のほうは、そんなヤツの暴虐な振る舞いに今や
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