首曳きの唄/栗栖真理亜
。早く開放して欲しい・・・。)
僕は相手に伝えることすら出来ぬじれったさと苛立ちのなかでただ身動きひとつすることも出来なかった。
「とりあえず、ここ出ようぜ。臭くないか?お前」
垣ノ内が右手を鼻をつまんで左手で匂いを仰ぐような仕草をしてみせる。
そこで僕達は急遽トイレから出ることになった。
トイレから出た僕たちはそのまま教室へは戻らず屋上へと上った。
別に僕が屋上へ行きたかったわけではない。
垣ノ内からは一刻も早く開放されたかったのだが、ヤツの気迫に押されてしまい、最終的にはヤツに従わざるおえなくなったのだ。
高いところは苦手だというのに。ヤツの後に付いて屋上へと続く
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