首曳きの唄/栗栖真理亜
顔を向けると不信そうな顔をした男が一人僕を見つめている。
それはクラスメートの垣ノ内豊だった。
垣ノ内は僕の幼馴染で、幼稚園から今の高校までずっと一緒だった。
しかし、幼馴染だからといって、気の置けない友人だった、というわけではない。
ただ、偶然何もかもが一緒だっただけだ。
もちろん、話しすらしたことがない。
相手も僕が余り話したがらないことを知ってか知らずしてか、無理に喋りかけようとはしなかった。
「どうしたんだよ・・・一体・・・?」
それが珍しく今日は僕にしゃべりかけている。
僕は少し眩しそうな眼でそいつを見上げた。
「なっ、なんだよ!」
あまりにも
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