首曳きの唄/栗栖真理亜
 
にもじっと見ていたせいか、垣ノ内が驚いたような声を出した。
「いや、なんでもない」
僕は垣ノ内から視線をそらしてモゴモゴと口の中で呟いた。
「ほっんと、変な奴だよな〜〜〜、おまえ」
あきれたようにそいつは僕をチラッと見やった。
「ところでさっきの悲鳴、お前か?」
「えっ?」
「『やめてくれ〜〜〜〜!!』とかなんとか叫んでただろう?」
どうやら完全に垣ノ内(こいつ)に聞かれてしまっていたらしい。
ニヤニヤとにやけながら面白半分に聞いてくる。
「・・・だったら、どうだっていうんだ」
反発する気持ちを抑えながら半ば自問するように僕は呟く。
「変な声がするか
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