首曳きの唄/栗栖真理亜
・・。
「きゃっきゃっ」
「クスッ、クスクスクス・・・」
僕は半ば恐怖で顔を引きつらせながら、ゆっくりと声のするほうを振り向いた。
「クスッ、クスクスクス・・・」
「フッ、ふふふふふ・・・」
しかし、どんなに目を凝らしてみても、人影はまったく見当たらなかった。
ますます恐怖で体の筋肉が硬直してゆく。
思考もまるで時が止まったかのようにストップしてしまった。
「ふふっ・・・ふふふふふ・・・」
「きゃっきゃっ」
「クスッ、クスクスクス・・・」
依然、子供の声はこだまとなって頭の中で響いている。
ただ僕は恐怖の余りなす術もないまま、金縛りになったかのよ
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