首曳きの唄/栗栖真理亜
 
き出すものは全部吐き出したはずだが、何ともいえない不快な感触は拭えない。
(なぜこんなことに???)
激しい眩暈と胸焼け、それから突然襲ってきた嘔吐感。
何もかもがギモンだらけだ。
僕はたった今吐き出したばかりの汚物が溜まった、便器の底を見つめた。
底は黄色く汚れている。
眺めているうちにゾクゾクッとまたもや不快感が襲ってきた。
「うっ!」
しかし、今度は口から何も吐き出されるものはなかった。
・・・はっっ・・はっ・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・。
まるで冷たいものでも乗せられたかのように、額にヒヤッとしたものを一瞬感じた。
(もうだめだ・・・今日は早
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