首曳きの唄/栗栖真理亜
 
来るのだった。
「僕はこれからどうしたらいいんですか?」
項垂れるように僕は彼女に聞いた。
「とりあえず、先生と一緒に自首しましょう」
やはり思った通り、彼女は真剣な顔付きで自首を勧めて来た。
(自首?冗談じゃない)
しかし僕は気持ちとは裏腹の事を口にしていた。
「はい」
分かりました、と承諾しておいて、彼女の隙を狙うつもりだった。
まさか、彼女も自首しようと思っている人間が襲ってくるとは予想だにしていないだろう。
〈油断させておいて、ポケットに忍ばせておいたこのナイフであの軟な頚動脈をかき切ってやろう。〉
ぼくは気付かれないようにそっとポケットの中を探
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