首曳きの唄/栗栖真理亜
 
せてすごいスピードで息も上がっている。
おまけに、体中から吹き出た汗がベッタリと洋服の布地に纏わり付いて、
まるで服のまま入水したかのように気持ち悪い。
「近藤君、大丈夫?」
横に振り向くと、またもや、万里子の担任教師が心配そうな顔で僕の顔を覗き込んでいる。
僕はすぐには答えることが出来ず、無言のまま、じっと教師の顔を見つめた。
「・・・」
黙り込んだまま見つめる僕を気遣うかのように、教師はそっと僕の蒼褪めた額に手を当てた。
「心配しなくても大丈夫。先生が付いてるから」
そう、優しく微笑むと彼女は、まる我が子を愛おしむような手つき僕の前髪を掻き揚げた。
僕も
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