首曳きの唄/栗栖真理亜
び上がるヤツの顔はまさしく地獄から這い上がってきた死者の顔そのものだった。
僕は顔の筋肉を硬直させながらじっとヤツを見つめる。
すると妙なことに気付いた。
何故かヤツの顔が、もっと見覚えのある顔に変化しているような気がするのだ。
不思議に思って恐る恐る観察してみると、それは僕の顔だった。
「ぎゃああああああああ!!!!!!!」
僕は自分の叫び声で眼が覚めた。
気が付くと、余りの衝撃のためか、上半身をベッドから起こし、高鳴る心臓の音を抑える為に胸に手を当ててじっとしていた。
ドックン、ドックン
はっ、はっ、はっ、はっ、はっ
止め処もなく脈打つ心臓に合わせて
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