首曳きの唄/栗栖真理亜
 
から、カアカアとカラスの鳴き声が聞こえてきて、僕は不意打ちを食らったように一瞬身を竦ませる。
なんとも不気味だ。
ここ最近不気味な事ばかり、続いているせいか、体が反射的に反応してしまうようだった。
(いいや、きっとこれは気のせいだ。きっと夢のせい。悪い夢を見ているんだ)
僕はぶるぶると強く首を左右に振る。
『果たして本当にそうかな?』
またしても頭の中に垣ノ内の声が飛び込んできて、僕は体を硬直させてしまった。
垣ノ内(ヤツ)の首は砂の上をゴロゴロと転げながら、僕のほうをニヤニヤと見つめている。
『この状況で「気のせい」だなんてよく言えた義理だぜ』
暗闇に浮かび上
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