首曳きの唄/栗栖真理亜
 
くても、生徒が二人いなくなっているのだから。
(まあ、垣ノ内の場合は誰も何も心配されてないみたいだけど)
フフフッと一人笑いしてみる。
すると少し気持ちが軽くなった。
『どこの誰が何にも心配されていないって?』
脳の中に不機嫌な声が飛び込んできた。
驚いて机のほうに向き直ると、机の上には怒り顔の垣ノ内の首が置いてあった。
(やっぱり僕は疲れている)
垣ノ内の首を眺めながら、僕はそう思った。
万里子の次に、またもやコイツだなんて・・・!!
『また俺で悪かったな』
僕の心の内を読んだのか、垣ノ内は不機嫌そうに頬を膨らませた。
(あ、いや!!そんなことない
[次のページ]
戻る   Point(1)