首曳きの唄/栗栖真理亜
た。
僕はボンヤリと教室の窓から空を眺めた。
僕が保健室に運ばれて、万里子の担任と話をしてからというもの、学校からも教師からも何の音沙汰もなく、ただ淡々と時間だけが流れてゆく。
(あの担任は誰かに何かを話したんだろうか?)
何もないというところが、かえって薄気味悪い。
(何故、物事を何もかも全部、包み隠そうとするんだろう?)
薄く引き延ばされたように青い空を漂う雲を軽く睨み付けながら、そう心の中で呟く。
万里子は結局自殺してしまった。
そして、僕の前に幽霊?となって突如現れた。
恨み言を僕に対してぶつける為に・・・。
ところが、彼女以外は誰も何も言ってこ
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