首曳きの唄/栗栖真理亜
あるのかどうかさえ判らない眼で、僕をじっと見つめた。
『赦さない、赦さない、赦さない、赦さない』
彼女の顔は見る見る怒りと恨みの相となり、
すさまじい怨念が取り巻いた。
僕の体中からは鳥肌が立ち、血の気も見る見るうちに引いていった。
『赦さない、赦さない、赦さない、赦さない』
僕は体の隅々まで感じる強烈な負のエネルギーを感じながら、いつの間にか意識を手放していた。
気が付くと僕は、保健室のベッドに寝かされていた。
(いつの間に僕は、学校に戻ってきたんだろう?)
僕はボンヤリとした頭で考えながら、天井を見つめていた。
(アレは夢だったんだろうか・・・?)
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