首曳きの唄/栗栖真理亜
 
と手を離した。
「そうかい。それだったら、離してやるよ。悪かったね。もうあんなことしないと約束してくれるかい?」
しかし、そんな言葉など訊かずに僕はダッシュで駆け出した。
「あ、逃げる気か!!待て〜〜〜〜!!!!」
しかし、待つ気などさらさらなく、僕はさらに猛スピードを上げて逃げ回った。
どんどん、追いかけてくるオバちゃんからは距離が遠ざかっていく。
僕の猛スピードについていけないオバちゃんは、今度は僕の背後から大声で叫びだした。
「ドロボー〜〜〜!!ドロボーが逃げたよ!!誰か泥棒を捕まえて〜〜〜〜〜!!」
唐突な叫び声にビックリした住民が「なんだ、なんだ?」と窓か
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