首曳きの唄/栗栖真理亜
 
されただけで?
そんな。
ありえない。
じゃあ、一体、何故・・・?
「ちょっと、アンタ!!そこで何してるの!!」
僕が考えてる隙から、突然、女性のカミガミ声が耳の鼓膜にまで響いてきた。
目を上げると、いかにもオバちゃんといった風情の女が買い物籠を腕にぶら下げたままの姿で僕を睨み付けていた。
「あ、いや、僕は・・・」
何もアヤシイ者ではないんですよ、と言おうとしたが、オバちゃんのほうは間髪いれずに、大きな口を開けて早口で怒鳴りちらした。
「ちょっと、アンタ!!人の家、勝手に入っていいと思ってるの?ちょっと、こっち来なさい!!」
オバちゃんは、太った図体とは思え
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