首曳きの唄/栗栖真理亜
 
ままだ。
ガチャガチャッとドアノブも引っ張ってみたが、どうやら、玄関の扉も閉まっているようだった。
僕は中庭まで回って、窓を覗こうとした。
窓際のガラスには、レースのカーテンが前面に引かれていて、中の様子はどうなっているのかさえ、判らなかった。
「近藤さん!!近藤さん!!」
大声で呼びかけてみたが、返事が返って来るはずもなく、
僕は諦めて、また表の玄関まで引き返した。
先程と同じように鉄柵を乗り越え、道路側に降り立つと、僕は考え込んだ。
(誰もいない。一体どうしちゃったんだろう?)
まさか一家総出で、夜逃げでもしたわけでもあるまい。
娘がクラスメートに犯され
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