首曳きの唄/栗栖真理亜
趣味のために出掛けてしまっているかしているようだった。
(ここでこうしていても仕方がない)
僕はくるりと背中を向けると何事もなかったかのように万里子の家を後にした。
数ヶ月たっても、万里子は学校に姿を現さなかった。
学校へ行くと必ず、廊下伝いの教室の窓から万里子の席を眺めるのが僕の日課となった。
さすがに毎日の僕の行動を不審に思ったのだろう。
万里子の担任教師が教室に入る前に僕のほうを振り返り、声をかけてきた。
「近藤君、いつもうちの教室に来てるみたいだけど、なにか用かしら?渡辺さんだったら今日も休みよ」
僕は女教師に図星を指されて、一瞬ドキッとした。
しかし、
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