首曳きの唄/栗栖真理亜
ただけだぜ」
首はケラケラ笑い転げながら、まるで鞠のように、アスファルトの上を飛び跳ねた。
愉快そうに飛び跳ねる垣ノ内の首を見つめているうちに、僕はだんだんと恐怖よりも不快な気分のほうが募ってきた。
「お、おい」
僕は何とか腕と足の屈伸を使ってよろよろと立ち上がると、首に呼びかけた。
「そんなに可笑しいのか?」
僕の問いかけに首は一瞬、飛び跳ねるのを止め、僕のほうに向き直った。
「ああ」
真顔で答えた首に僕は「そうか」と頷くと、なんとか片足でバランスを取りながら、もう片方の足を後ろに仰け反らすと、首めがけて思いっきり前に蹴っ飛ばした。
「ぎゃああああ!!!!!」
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