首曳きの唄/栗栖真理亜
浮かべる彼女を唐突に突き放した。
「ごふっ、ごほ、ごほ」
彼女が苦しそうに喉を押さえながら咳き込んでいる。
僕はそんな彼女を無視するかのように背中を向けて突っ立っていた。
何故突然止めてしまったのか、僕自身にも分からない。
ここで、彼女の存在を消しておかないことには僕の存在すら危うくなることは明白だった。
しかし、僕はどうしてもこの手で彼女を殺すことは出来ない。
僕は拳をきつく握り締めると、その拳で記念碑を殴りつけた。
ガッッツッッツツ!!!!!
ぶつけた思いと共に拳は血を噴出し、グシュッと骨が砕ける音が響いた。
僕は傷付いた拳をかばうこともなく、彼女を置き
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