首曳きの唄/栗栖真理亜
 

みな、何事もないかのようにそれぞれの遊びに興じている。
(そうだ、何もこのクラスとは限らないかもしれない・・・!!)
僕は立ち上がると、廊下へ出て、他の教室を見て回った。
3―D、3―A、3―B・・・。
順々に廊下から教室内の様子を窺う。
しかし、外から眺めただけでは、一向に成果は上がらなかった。
キーンコーン、カーンコーン。キーンコーン、カーンコーン。
ちょうど、チャイムが鳴り、朝のホームルームも始まる時間だ。
仕方なしに、僕はいったん探すのを諦めて、自分の教室に戻ろうとした、その時。
「あの〜〜〜」
女の声がして僕は思わず振り向く。
振り向い
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