首曳きの唄/栗栖真理亜
と浮かび上がる物の輪郭だけだった。
僕は入り口を出て車に乗り込み、エンジンをかけると、そのままその場を走り去った。
次の日、僕はどうしてもロッカールームに置き去りにした生首の事が気になって、朝食を取るのも忘れてしまったかのように一直線に学校へと向かった。
僕の目的はただひとつ。
気がかりな生首がロッカールームで大人しく僕を待っていてくれているかどうかという事だった。
もしかしたら、また別の人物が勘付いてバッグごと持ち去ってしまっているかもしれない。
あるいは、気付いた時点で、警察に通報してしまっているかもしれない。
僕は一目散にロッカー前に駆けつけると、そろりソロリと
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