首曳きの唄/栗栖真理亜
えるのにも飽きてしまって、僕はただ息だけをする生き物としてここでこうしている。
僕が小野寺という女に拐かされて犯した犯罪もそれに巻き込まれて命を落とした奴らもすべてがどうでもよかった。
小野寺の事については、僕が警察著に行くまで一緒にいたことを刑事にゲロしたので、今頃は捜索されて捕まっているかもしれない。
僕は髪振り乱して追っ手から逃れる小野寺の姿を思い浮かべた。
(自業自得さ)
もはや、早く追っ手から逃れて欲しいなどとは露とも思わない。
むしろ、捕まって刑事に僕よりももっと酷い折檻を受ければいいと思っている。
僕は僕の欲望のためだけに行動していたはずなのに、あの小野寺
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