首曳きの唄/栗栖真理亜
 
い!知らない!!僕は知らないんだ!!)
確かに僕は知らない。
知らないというより覚えてない。
殺したその菱田とか言う男のバラバラ死体をバッグに詰めて車で逃走し、琵琶湖に沈めたことしか覚えていない。
それ以前の記憶はショックの為か、まったく白紙状態になってしまっていた。
『口を割らないなら仕方がない。しかしこれだけは言える。お前は旨く利用されたんだ。  お前の性格を利用して小野寺は恋人を殺す手伝いをさせたんだ。 それが証拠にお前と小野寺の指紋がクッキリ証拠品に残っている』
(嘘だ!ウソだ!嘘だ!ウソだ!嘘だ!!!!)
僕はパニックに陥ったヒトのように髪を振り乱しながら心の
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