首曳きの唄/栗栖真理亜
に僕も眼を通す。
「これはな、琵琶湖沖の海底で見つかったものだ。これが何だかお前なら分かるな?」
僕はこっくり頷く。
それが僕が琵琶湖に沈めたはずの生首入りのバッグだった。
「仏さんはこんな所にいたんだな。水の中浚うの大変だったんだぜ。それはともかく、こう腐乱しつくしていては、始めは誰だか判らんかったんだが、この仏さんの特徴やDNA鑑定で身元が判明したんだ」
そこまで喋ると、刑事は勿体ぶったように口を閉じた。
僕もごきゅっとつばを飲み込む。
再び刑事が口を開いて真相を伝えたとき、僕はわが耳を疑った。
「菱田圭吾という男だ。小野寺恵子の婚約者だった男だよ」
僕は
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