首曳きの唄/栗栖真理亜
 
座っている。
「・・・・」
僕が黙っているとまたもや、看守の男が僕の顔を机にぶつけた。
「ガッ!!」
「え?どうなんだよ?訊いてるんだ。答えられんのか!!」
僕は数回ぶつけられ、鼻をしたたか打ったためか、顔面に熱い血糊のようなものが流れてくるのを感じた。
僕は何度も何度もうんうんと縦に頷く仕草をした。
「そうか。それで?お前の隣のクラスに小野寺恵子とか言う女の担任が居ただろう?」
向かいの刑事は僕の惨状もお構いなしに平然とした態度で尋ねた。
僕はあの小野寺先生の名前が唐突として刑事の口から出たので、驚いて刑事の顔を凝視した。
「お前と小野寺恵子とはどういう関
[次のページ]
戻る   Point(1)