首曳きの唄/栗栖真理亜
 
前を向いた。
「つべこべいわずに囚人は付いて来い」
そのまま僕達は陰気で暗い廊下を歩いて行った。

「入れ」
ドアが開けられ、僕は後ろから背中をこつかれながら、部屋の中へ入った。
部屋は4畳ほどの狭くて四角い造りだった。
牢屋と同じくあたり一面が薄汚れた壁に覆われている。
僕は看守に無理やり前髪をつかまれ、スチールの机の面に頭をぶつけられた。
「グッ!!」
鈍い衝撃音と共に頭の中が振動で一瞬揺らめいたような気がした。
「おまえ、●●高校の生徒なんだってな?」
声のするほうへと顔を上げると、刑事らしき男が机を挟んで向かい側に
腕を組んで横柄な態度で座っ
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