首曳きの唄/栗栖真理亜
 
体どこへ行くんですか?」
僕は心配になって尋ねた。
「・・・・。」
看守は無視を決め込んで何も云わない。
僕は思わず、臓腑を押さえた。
わが身を思う余り、僕の胃はますます、胃液の過多で荒れ、急激な痛みが襲ってくるような気がした。
「すみません、ぼくちょっとおなかが痛くて・・・」
上目遣いに看守を見ながら、遠慮がちに小声で言ってみた。
しかし看守のほうはそんな僕の陳情も聞き届けてくれるような風情ではなかった。
それよりもさっきよりさらに酷い仕打ちが僕を襲った。
ボグゥッ!!
看守は僕の腹を思いっきり殴り付け、一言だけポツリと言ったかと思うと、またクルリと前を
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