首曳きの唄/栗栖真理亜
 
のままに牢屋へ入れられたのだろうか?
「何をしている。早く出ろ!!」
看守らしき男は執拗に牢屋から出るように催促した。
僕はゆるゆると遅い動作で立ち上がろうとした。
すると、僕の動作にかんしゃくを起こした看守は、僕の尻を思いっきり蹴飛ばすのだった。
「ぎゃ!!」
たまりかねて僕は跳び上がってしまった。
「このノロマめ。俺の言う事が聞けないのか?まだ懲りないようなら、今度は脳天に一撃加えるぞ。」
僕は恨めしそうな顔をして、この看守の言う通りに、すっくと立ち上がった。
そしてそのまま、両手首につけた手錠を引っ張られる形で、牢屋から連れ出されてしまった。
「一体ど
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